2013/04/16

未来へ!

俳優・三國連太郎さんが亡くなったそうです。

三國連太郎 『フリー百科事典 wikipedia日本語版』

私が物心ついたときにはすでにスターでした。
釣りバカ日誌はテレビで放映されれば見てしまう感じでしたし、
『夏の庭 the friends』での演技も印象的です。
どうか安らかに・・・


大人になるにつれて、よく名前を聞き新聞・テレビなどで見かける
有名人が亡くなることが増える気がします。
考えてみれば、自分が子供の頃すでに有名だった方々は、
自分が大人になる頃には相応に年を召されるのだから、
年々訃報に接することも増えるのが道理ですね。

とはいえやはり寂しく感じられるのも本心です。

最近では歌舞伎俳優・十八代中村勘三郎さん、声優・納谷悟朗さん、
作家・常盤新平さん、棋士・米長邦雄さんなどの訃報は驚き、
少しショックを受けました。
海外ではサッチャー元首相がずいぶんニュースになりましたが、
昨年はレイ・ブラッドベリも鬼籍に入り、仕事柄でいえば
建築家オスカー・ニーマイヤーの訃報も驚きました。
(以上リンクはすべてウィキペディア日本語版)

しかし私にとって、訃報に接してもっとも驚き、言葉を失ったのは
先月初めの二川幸夫さんでした。(wikiがないのでkotobankへリンク)

二川さんは日本では最も著名と言って良い建築写真家です。
A.D.A EDITA tokyo という会社を作って『GA』という雑誌など、
建築写真誌を発行していた方で、建築の世界にいれば
学生から有名建築家まで二川さんの名前と顔は知らぬ者なし、
という巨大な存在です。

4年前に『世界現代住宅全集』という建築写真誌の発行を開始。
有名な、あるいは二川さんが素晴らしいと感じた住宅を
一軒ごとに一冊の写真集としてまとめ、全50巻で発行する
プロジェクトだそうですが、印象的だったのはその選抜について。

これで全部じゃないですが。













50軒を取り上げるとは決めているものの、どの住宅にするかは
発行を開始した時点でもまだ確定していない、というものでした。
19世紀以後、建築デザインの思想がモダニズム主流になって以来の
いわゆる名作住宅というものを、50軒挙げろと言われれば出来なくは
ないはずです。

しかし、あえて既に建っている住宅のみを選ばず、これから建築される
最新の住宅も、可能な限り情報を集めて確認し、良いと思えば一冊作るよ、
と、刊行開始の際のインタビューかなにかで仰っていました。
(なぜかソースが見つからないので一字一句同じではないです)

未来の選択の余地、これからも素晴らしい建築・住宅が
どんどん出来るという希望を残したい、というその思いに、
いろいろな意味で深く考えさせられ、驚いた覚えがありました。
これからこのプロジェクトがどうなるのかはわかりませんが、
良い形で続いていき、二川さんが安らかに眠られることを祈ります。

思えば三國さんも、死ぬまで映画を撮りたい、表現したいと
インタビューで話していたのを聞いたことがありますし、
十八代中村勘三郎さんもコクーン歌舞伎やテレビドラマ出演などを
精力的に続けて歌舞伎がより多くの人に注目されるようにするのは
とても大事、と、テレビで見るたびに昔から最近まで変わらずに話していました。
お二人とも、自分一人の名声ではなくて、自分が生きた演劇の世界の
未来のために、たくさんの良いものを残したいということだったのかな、
などと想像しています。

どの世界でも、偉大な業績を残した人は命の火が消える瞬間まで
未来のことをなによりも強く想い続けるのか、と思うと、
その途方もなさに身震いがして、勇気づけられる気もします。