2013/09/22

質感、素材感、満足感

岩手と東京を行き来しながら9月が終わりそうです。

いま敢えて東京タワー。
















2週間も前ですが、仕事の合間に
東京駅の東京ステーションギャラリーで開催中の
『大野麥風展 「大日本魚類画集」と博物画に見る魚たち』
という展覧会に行ってきました。
















麥風そのひとや「大日本魚類画集」の解説は専門家に任せて、
感想を申し上げると『とにかく楽しい!』展覧会でした!


鯔や沙魚、鮒にめだかなど、自然の中や食卓で身近な魚を取り上げて、
よくある図鑑の挿絵のように俎板の上に載せられているような姿ではなく、
背景に波や水中の風景、時には生息域が近い他の魚を描いて、
見ている人がまさにいま水中にいるかのような画面構成の
版画であることもとても良いなあと思いました。

木版画とは信じがたいほど精密な絵と
原色木版二百度摺り、といわれている、
鮮やかなだけでなく奥行きを感じる彩色はため息の出るような美しさ。

鯰などは触れればぬめりで手からすり抜けそうに、
メダカやオイカワなど群れる小魚は音を立てればすぐに逃げ散りそうに、
鰹や鯖の大群はすごい早さで目の前を通り過ぎていきそうに、
ほんとうにいきいきと描かれていました。

ちょっと確認できていないのですが、おそらくは色摺りの際、
胡粉や雲母を混ぜてマット感や光沢感を出しているのではないかと思います。
もう、大感激の展覧会でありました。


もともと私個人は、抽象画より精密に描かれた絵画の方が好きでしたが、
細密なだけではなくて質感の伝わる絵が好きだったんだな、と強く自覚。

建築設計においても、木目調のサイディング、とか、金属柄の塩ビシート、
とか、石目調のビニルクロス、という素材を私からは選びません。
そうした疑似素材は、貼った当初はそれなりに見えても、あっというまに
色あせ、汚れて質感を失い、ただ汚いだけになってしまいます。
そもそも、疑似素材の奥行きというか深みというか、そういう質感の無さは
建築のプロでなくても空間に入ると意外と感じ取ってしまうものです。

本物の、質感の良い素材は、年を経るごとに表情も手触りも変わりながら、
歳月の重みを内に蓄積していくような変化を見せてくれます。

よく考えて作られた建築は、人ひとりの寿命を超えて存在するものですから、
そうした細かい部分にまで気を配って作り込むことが、私だけでなく
住む人にとっても、深い満足を得る重要な要素だと思っています。

そうそう、質感と言えば、東京ステーションギャラリーの階段室は、
改修前の駅舎の煉瓦壁が一部残されているんです。
















持って帰りたい気持ちになる、味のある表情でしたよ!