2013/11/25

まっしろ

雪が積もってまっしろ・・・

ということではございませんです。
さすがの岩手もまだそこまで冬ではないです。

お仕事で模型を作っておりましたが、これが真っ白なのです。

←駐車場から中庭を経て家を見る、の図。
 手前でぼやけてるのは車。








私ども設計事務所の人間はよくやります。
『白模型』というミもフタもない名前で呼びます。
スチレンボードという、発泡スチロールのような素材を薄く延ばし、
両面にボール紙を貼ったような材料を切って貼って作ります。

縮尺が1:50(50分の1)のケースが多いので、
現実世界では2cmの大きさのモノが、
模型の中では1mとして扱われます。

←階段の幅(通常のお宅では75cm程度)が、
 1:50の模型では1.5cmにしかなりません。
 切って貼って階段にするの、すんごい大変・・・

 今回のは割とうまくいきました。(こっそり自画自賛)



図面だけ見ても、間取りはわかっても空間の関係性やボリュームが
よくわからないぞ!という場合に、模型はとても役に立ちます。
なにせ立体ですから、どこに、なにが、どんな関係性を持って
並んでいるか、一目瞭然。

ただし、現実に建つ家とは、当然のことながらディテールが全く
違うので、ある程度は想像を働かせることが必要です。

設計者の中には、実際に使うつもりの外壁材などの仕上げに
ある程度似たものを使って、色を塗ったり質感のある紙を貼ったりして
現実に近づけようとする人もいます。

私の場合はいつも白模型を作ります。
理由は、むしろ想像して頂きたいからです。

←こんな画像で、床や階段の木の質感、
 扉や壁の色、光の具合などを想像したら、
 楽しくないですか?






色の付いた模型だけでなく、コンピュータ上で描くパースというものを
私は使わないのですが、理由はどちらも同じです。

私が建築の世界に入ったばかりのころは、パースソフトによる
素材の表現は、笑っちゃうくらい単純で精度の低いものでした。
10年以上経って、ソフトは手頃でも表現が豊かになって、
一見いいことであるようにも思えます。

でもこれらは、リアルにしようとすればするほど、お客様の想像の余地を
奪ってしまい、色模型あるいはパースの通りの家が出来るものと
誤解なさるケースがけっこうあるのです。

ちょっと話が飛びますが、警察では一時期、容疑者の手配書類に
似顔絵の代わりにモンタージュ写真を多用していたけれども、
近年は似顔絵の使用も戻しているとか。

目・鼻・口・輪郭・頬などのパーツ写真が個々に用意されたものを
つなぎ合わせて顔を作ると、細部までがリアル過ぎて、
見た人が固定観念を持ってしまい、“似た人”の範囲が狭まって
目撃情報が減ってしまうそうです。

鉛筆書きの似顔絵はその点、ディテールを少し端折っても
特徴を強調したり出来るし、見る人も手書きの絵だから、
というのである程度の“表現のゆらぎ”を無意識に感じ取り、
“似た人”の範囲が広がって情報も増える。

模型やパースも似たところがあって、あまり精細に作り込むと、
見る人の意識に固定観念としてその画像が居座ってしまい、
細かいディテールが模型やパースと違っていたときに、
そのわずかなずれが認められないような、狭い許容範囲で
判断してしまうようになりうるのです。

私自身も、お客様ごとにまったく違う設計をご提案している以上、
その住宅は完成するまで目で見られないわけですから、
いつも想像ひとつで設計デザインを先へ進めています。

お客様にも、できれば一緒に、理想の住宅の姿を想像しながら、
わくわくしながら完成までの時間を共有して頂ければうれしいな、
と思って、いつも設計をしています。