2015/02/22

仄暗い穴の底から

龍泉洞の記事を書いたので、別の地底のことを思い出しました。
厳密には洞窟じゃないんですが・・・

もう何年も前のことですが、栃木の大谷資料館に行きました。

文字通り切り立った岩肌

















資料館は名前通り、栃木県宇都宮市大谷町にあります。
大谷町で産出される大谷石は、昔はあちこちで石塀にしたり、
敷石にしたりして使われたので、目にしたことのある方も多いはず。

その質感と表情を気に入った建築家、フランク・ロイド・ライトが、
日本での仕事の仕上げ材に積極的に採用したのは有名です。
東京だと、池袋の自由学園明日館でふんだんに使われています。
私の大好きな建物のひとつです。

玄関の敷石。陰翳がよく映える。
















資料館は地下に埋もれた石の層を切り出した跡なんですが、
巨大な宮殿のようになっていて、けっこう衝撃的な空間です。
この空間がみっしりと大谷石だったのか、ということも、
切り出した量がどれほどあったのか、ということも、想像すると衝撃的。

左下の人はミニチュアではありません。
















この写真もごく一部、ですからね・・・迷宮とまでは言わないけれど、
入り組んで切り出された跡が歴然としている巨大空間は、
一瞬だけ恐怖も感じます。

ところどころ、外と繋がる空気穴のような縦坑や、
崩れて出来たとおぼしき穴があるのも、
石切夫の方々の営みを感じるような気がします。

夏場に訪れると、坑内の気温が10℃台でものすごく気持ちいいです。
避暑目的だけでも面白いですよ。

建築の仕上げ材で言うと、白河石というのも有名です。
これも文字通り、福島県白河市で産出される石。
組成としては安山岩だそうですが、大谷と同じ栃木県の町、
芦野で産出される安山岩は芦野石と呼ばれます。











こちらは石切場跡ではなくて、建物が資料館として用意されてます。
大谷石とは違う肌の、しかし粗く美しい風合いの石です。

何かの工事中か、休館中だったので外観のみ。











たびたびしばしば、似たようなことを書いてますが、質感の良い本物の素材を
丁寧に使って作った建物が、時間を経て変わりゆく姿こそ、
もしかすると建築のもっとも本質的な価値なのではないか、とも思うのです。

石目調、木目調、ナントカ調。そして北欧風、ナントカ風・・・
見た目だけ似せた物に違和感を感じることが多いのですが、
自然の造形の奥深さに触れて、初心に帰った数日でした。