2017/03/11

今日、この日

今日の午前、沿岸の街に住む人の話を聞く機会があった。

その人はいま仮設住宅に住んでいる。
この先、高台に家を建てるときのためにいろいろと検討中だが、
引き渡される予定の土地のことで、今月中に
決めなくてはならないことがあり、意見を聞きたい、と
おっしゃった。

土地は今まさに造成中で、完成形は図面でしかわからない。
工事中で一帯が立入禁止なので、
予定地を近くで見ることさえできない。
それなのに、決めなくてはならないことはあまりにも具体的で、
あまりにも細かいことで、図面だけでは決めようがない。
だが、決めなくてはならない。
どう考えたらいいのか。何から考えたらいいのか。

僕には、一般論しか答えられなかった。
無力さの自覚があまりにも重かったが、
まだ存在しない場所のことを具体的に考えるのは、
プロであっても難しい。

沿岸の街でなくても、家をつくるにあたって、
何から手をつけていいのか、何から考えればいいのか。
そんな話を、今日は何度もお聞きした。

そういうふうに悩む人がこんなにもいるのだ、
ということをまったく知らない設計者や工務店は、
たぶん想像するよりずっと多い。

業者にとってお客様の存在は、自分のところに
建築を依頼しに来たときに初めて認知されるものだ。
それ以前にどれほど悩んでいるか、に関心はない。

無関心によって何かが見えなくなる、
そのことへの怖さが、茶話会を続けている理由だ。
今日という日に、いくつかの悩みを伺ったことは、
たぶん何かの意味がある。
なくても構わないが、僕は意味を感じた。

営業と思われるのが嫌で大々的な告知はせずに来たが、
これからその気持ちは無視することにした。


あらためてお伝えします。

何から手をつけていいのか、何から考えればいいのか。
すぐに答えは出ないかも知れないけれど、
互いに話し、聞くことで、すこしづつ見えるものも
あるかもしれません。
そうやって、これからも続けていきます。

今月は25日土曜日、午前10時から、
アイーナの8階、809号室で行います。
どうぞお越しください。