2017/08/06

祝、上棟

8月初旬、上棟式。
朝から吹き流しと矢車を揚げる。
















式の前の週は、それまで空梅雨だったのが嘘のように
強く降る日が続いて、当日の天気が直前まで心配だった。
その心配をよそに前日から良く晴れて、
青空のもとで挙行できた。


建築工事の現場は天気の影響がとても大きい。
工期のこともあるし、こういう節目でうまく晴れてくれると
それだけでも気分が良い。

(個人の特定を避けるためお顔部分を加工しています)













事前にお声掛けしていたお施主様のお友達、
工事関係者などが三々五々集まる。
吹き流しと矢車で餅まきがあると知って来られた方も。

最近は上棟の餅まきも珍しく、屋根の上の
吹き流しを見ても意味のわからない方も多くなった。
それだけに、飛び入りの参加も嬉しい。
式は二礼二拍手一礼の拝礼で始まる。

お施主様ご家族が拝礼
大工の棟梁も拝礼

そして餅まき。

子供達がたくさん来てくれて、餅ひろいも大賑わい。

絶え間なく歓声があがる













餅をまくほうも歓声があがる
全部まきおわって爽快

工務店から上棟式の話











参加してくれた方が、子供会の行事のようだったと
感想を言ってくれた。
お施主様も、賑わったことを喜んでやってよかったと
爽快な笑顔で言っていた。
おめでとうございます、ありがとうございます、
という言葉が飛び交って、みんなが笑っていた。
誰もが楽しんで、喜ばしい気持ちでその場にいた。
それがなによりも嬉しかった。

最後に工務店の社長から、上棟式の由来を聞き、
お施主様の素敵な言葉を頂いて、一本締め。
式全体は、正味40分ほどで終わった。

そのたった40分の喜ばしい気持ちがあるから、
この仕事をやめられない。

設計の仕事の半分は、調査と交渉と申請でできている。
残りの半分は、様々なことを考え沈みこんでいく時間。
15年建築の仕事をしてきたあいだ、
楽しかったり、高揚したり、嬉しかったり、
そういう気持ちで過ごすことは、時間で考えれば1%もない。

竣工したときに泣いてくれた奥様。
引渡しまで一か月を残して打合せが終わり、
あとは打ち合わせ内容通りに工事の進行を待つのみ、
となったとき、打合せが楽しかった、寂しいと
言ってくれたお施主様。
仕様を決めるのに、最後の二択は全て山下君に任せて
悔いはない、と言ってくれたお施主様。

その言葉と感情が僕を高揚させてくれる時間は
数分や数十分で、そのあいだにも別の仕事の苦悩は
いつの間にか頭上に覆い被さっていて、
気がつけばまた沈み込み、幾週間もまたもがく。

その99%以上の苦悩の時間を、1%以下の喜びが
支えてくれて、潰されないで生きていけることを、
学生の頃の僕は知らなかった。
充実した仕事とは、いつも笑顔で楽しくてしょうがなくて、
弾むように街を闊歩する姿で現れると思っていた。

そういう、活発な見た目の時間がたくさんあることじゃなく、
喜びと苦しさの、重さの釣り合いで仕事を続けていける。
たぶんどんな仕事でも同じなのだろう。

何年ぶりかに参加した餅まきの、
子供達の混じりっけのない歓声が聞こえる屋根の上で、
少しは遠くまで来たんだな、と思った。