2017/12/08

茶話会で訊かれたことへの長い回答

今年最後の茶話会は、16日(土)10時から行います。

初開催から2年を超えて、伺った話も受けたご質問も
多岐にわたります。












顔を合わせて話すことですから、
一般論よりも個々の事情に合わせた内容が多く、
ブログなどでそれを公開することはしませんが、
普遍的な内容についてはある程度は文章にして、
茶話会に参加しやすくなったり、
なにかの参考になれば、と思います。

これまでの茶話会で一番多く耳にしたのは、
家づくりをまだ具体的に進めていないけれど、
どの段階から設計事務所に相談してよいのか、
という質問でした。


独立以来、設計事務所を構える私のところに来られるのは、
設計事務所に依頼することを既に決心している方が
ほとんどです。東京でも、岩手でも違いはありません。

岩手へ来てから、建設業界外の方が講師をつとめる
住宅セミナーでゲストとして少ししゃべって、
それから受講する方々の話を伺う機会を頂きました。

その場で、お客様が決心するまでに直面する苦悩と、
それを乗り越えてきた努力のおかげで
過去の私の実務経験は成り立っていたということを
初めて痛感しました。

親と同居するか、介護は起こりうるか。
いまの勤め先に通うことを優先するか、
転勤はあるか、そもそも転職する可能性はあるか。
いま住む町から離れれば子供は転校することになるが
それで良いのかどうか、近隣に良い土地があるか。
いま住んでいる家に感じる不便と不満は
どうすれば解消できるのか。

人それぞれに、実に多様な人生そのものの悩みがあり、
自分たちで解決策と思われるものを調べ、
その結果としてようやく
新築か改修か、土地を買うか所有地を活かすかなどの
方向性を決め、それから今度は誰に頼むかを決め、
要望を整理して伝える準備をする。

ここまでを、誰にも頼れずに夫婦で、ひとりで、
考え込んでからようやく最初の相談に至っている、
という事実。
私にとって大きな衝撃でした。

スマートフォンで寝ながらでも
情報を得られる時代になったけれど、
少なくない割合の嘘や間違いが混じって、
量だけが膨大になった情報は、
悩みを増やすほうへ足を引っ張るようにも感じます。

そうして五里霧中で訪れた先の
設計事務所でも工務店でもハウスメーカーでも、
初めてのヒアリングで聞かれることは
ご予算は?家族構成は?土地はどこ?ご要望は?

訊ねられるままに答え、それがひととおり終われば
なんだか家の図面が出来てくる。
霧は晴れないまま、こういうもんだと家は建ち、
考え続けた疲れだけを残して、新しい暮らしが始まる。

そういうふうに進んでしまう家づくりもあるということが、
人づてに、ネットで、本で、なんとなく知られ始め、
それでいいのだろうかと疑問を持つ人も増え始めています。

なんとなく知っているその家づくりにもし疑問があるなら、
その感覚は正しいのです。

自分たち家族が何よりも大事にしたいことを、
本当の意味で整理してしっかり把握することを省いて、
派手な広告の最新設備や、数字で示される性能だけを
後からお金をかけて詰め込んでも、良い家にはなりません。

家族ひとりひとりが安らぐ居場所を
家のなかにきちんとつくるためには、
最初に視点、考え方を整理することのほうが
ずっと大切です。

そうした場を住宅業界がつくらずに来たことを
末席に連なる者として恥じているし、
考え始める最初の場として
茶話会を使ってもらえるといいな、と思っています。

いまのまま暮らし続けるのか、
どうしたらいいのか、わからない。
どうしたいのかも曖昧。
そのぐらいのことから話しに来てください。

どこから相談してよいのか、という質問への答えは、
最初からどうぞ、ということなんです。