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2021/06/08

つくりつづける

 映画『HOKUSAI』は面白かった。












ガラガラの夜の映画館で鑑賞。

葛飾北斎の、長く濃密な人生はもちろん
映画一本で完全に描けるようなものではないが、
苦悩と苦闘と突進の姿を、
時代や周囲の人々も併せてうまく描いていた。

俳優が良いとそれだけでもどうにかなるものだが、
この映画は適材適所の見本だと思う。

あと個人的に、題字が世界観に良く合っていたし、
とても大事に扱われていたのが嬉しかった。
何度でも書くが岩手在住の書家、伊藤康子さんの字である。
エンドロールでもプロデューサー陣の次、
出演者の前に出ていた。重視され具合が尋常ではない。

映画を見て影響を受け、ひさしぶりにネット検索で
情報を見た中に、平塚市美術館の企画展があった。
川瀬巴水、大正・昭和初期の浮世絵師。
このご時世、神奈川に出向くわけにはいかないので
親戚に頼んで図録を入手。
















画廊で初めて見たのは「芝 増上寺」と「野火止平林寺」。
オリジナル摺りではなかったはずだが、それでも衝撃だった。
いまでも、好きな絵と言われたらかなり初めに思い出す。
じつは岩手にも来ていて、中尊寺金色堂を描いている。
これもまた良い。












浮世絵の画業だけでなく、本・雑誌、小冊子の表紙とか、
切手の初日カバーとかカレンダーの図案も手がけた。
丸囲みや提灯を型どった枠の中に絵を入れる図案で
風景を描いたり、そういう仕事もこなした。
いろいろと試すことが好きだったあたりは
北斎やアルフォンス・ミュシャを連想する。

自分の信じた美しいものを作り続ける執念、
美しさを評価するとき既製の枠には囚われない視野。
見習うにはとてもハードルの高いものだが、
忘れ去ってしまわないようにしたいと思う。